人事労務ニュース
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文書作成日:2025/06/24

10月施行の改正育児・介護休業法「柔軟な働き方の実現するための措置」への対応

 改正育児・介護休業法の第1段階が4月に施行され、第2段階についても10月に施行されます。この10月施行の項目の1つである「柔軟な働き方を実現するための措置」への対応については、これから検討を行い、育児・介護休業規程等の見直しをされる企業も多くあるかと思います。そこで今回は、改正内容と検討する際のポイントを解説します。

[1]柔軟な働き方を実現するための措置への対応
 現行では、仕事と育児の両立を支援する制度として、育児休業、育児短時間勤務、所定外労働の免除、時間外労働の制限、深夜業の制限および子の看護等休暇がありますが、10月からは3歳から小学校就学前の子どもを養育する従業員に対して、柔軟な働き方を実現するための措置を講じること等が企業に義務づけられます。具体的には、以下の5つの選択肢の中から、企業が2つ以上の制度を選択して導入し、対象となる従業員がその中から1つを利用できるようにすることが必要です。

  1. 始業時刻等の変更
  2. テレワーク等(10日/月)
  3. 保育施設の設置運営等
  4. 養育両立支援休暇の付与(10日/年)
  5. 短時間勤務制度

 この5つの選択肢のうち、2.テレワーク等と4.養育両立支援休暇の付与については、原則として、時間単位で取得できるようにする必要があります。

[2]検討する際のポイント
 義務化される柔軟な働き方を実現するための措置は、全社統一の制度を導入するケースが多いと思われますが、業務の性質や業務の実施体制に照らして、事業所単位や職種ごとに措置の組み合わせを変えることも可能です。
 また、シフト制などの交代制勤務を行う従業員については、例えば早番と遅番があった場合に、通常であれば両方の勤務をシフトで設定するところ、早番の勤務のみとする措置を行う場合は、「1.始業時刻等の変更」の措置を行ったことになります。

[3]従業員代表の意見聴取
 企業が選択した措置については、育児・介護休業規程に盛り込む必要がありますが、その前に選択する制度について、従業員の過半数代表者等の意見を聴取する機会を設ける必要があります。この意見聴取の方法は、面談、書面、メール等が想定されますが、その方法について、法令上の特段の定めはありません。

 今回の柔軟な働き方を実現するための措置について、すでに法を上回る制度として導入している企業もあるでしょう。その場合、柔軟な働き方を実現するための措置として、すでに存在している制度を選択することはできますが、従業員の過半数代表者等の意見聴取を行う必要があります。

■参考リンク
厚生労働省「育児・介護休業法について

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。




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